大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和35(オ)47 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人吉田賢三、安井源吾の上告理由について。

論旨は、原判決は憲法二九条に違反するというのである。そして、その理由とす

るところは(1)他に適当な代替地があるにかかわらず上告人が村外居住者である

が故に本件買収をしたこと(2)他の山林の払下を受け代替地にしようとする計画

があつたこと(3)本件山林以外の山林を代替地にしても必ずしも更に代地が必要

であるとはいえないこと、等であつて、これらの事実があり他の方法があるにかか

わらず国家権力をもつて強制的に本件山林を買収することは憲法二九条等に反する

というのである。

しかし、原判決の認定するところによれば、本件買収は上告人が村外居住者なる

が故にことさらに差別的に取り扱つたのではなく、村内居住者の山林はそれぞれ所

有者の薪炭地、採草地となつており、これを買収すれば、そのまた代地を必要とす

るような結果を来し、その結果として村外居住者たる上告人の本件土地を買収した

というのであり、また、他の土地を物色していたというのも、本件山林買収が争訟

により事実上実行されないため急場しのぎとしての処置であり、他に代替適地があ

るとは認められない旨を説明しているのである。原判決によれば、本件買収は所論

のように、上告人が不在地主なるが故に特に不公平に取り扱つたことによるのでは

ないのであつて、所論違憲違法の主張はその前提において理由がない。

上告代理人安井源吾上告理由第一点について。

論旨は、原判決が買収令書の交付について、相手方が受領証を提出する必要もな

く、相手方の受領の意思も必要でなく、事実上買収令書を交付し相手方の了知し得

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る状態におくことをもつて足るとしたのを非難するのである。しかし、買収処分は

国の単独行為であり買収令書の交付は行政庁の一方的行為であるから、受領証の提

出が必要でないことはもちろん、相手方の受領の意思も必要でないこと明らかであ

る。本件の場合、原判決の認定するところによれば上告人は買収令書を持ち帰つた

というのであるから、適法な交付があつたものと解して少しも支障はない。論旨は

公告の違法をも主張するのであるが令書が交附されたものと認められる以上公告は

不必要であり、公告の適否は結果に関係がない。

同第二点について。

論旨は、原判決の採証の法則違背、理由齟齬を主張するのであるが、原判決の認

定した事実はその挙示の証拠によつて十分に認められ、かつ、原判決の説明は十分

に首肯でき、原判決に所論のような違法はない。論旨は要するに原審の専権に属す

る証拠の取捨選択、事実認定を非難するか、あるいは、原判決の認めない事実、本

件買収処分後の事実等を前提とするものであつて採用の限りではない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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